~ポジティブな影響力~
第10章
VSOPモデル③:目標を共有する(O:ObjectiveSharing)
演習を通して、ビジョンの示す目標を共有するための方法を理解し、実践する
目標を共有するとは、
「ビジョン・目標を達成するために、周りの関係者を巻き込んでゆくプロセス」
のこと
関係者を動かすには、“共感”と“納得”が必要
そのためには:
・相手目線(価値観・態度・言葉)で伝える(What’s in it for me?)
・コミュニケーション・スキルが重要
・繰り返し説明する場をつくること
質問:
周囲の人と、ビジョンや目標を共有するには、どんな方法があると思いますか?
あなたが関係者だったら、「どんな伝え方なら納得できるか」を想像してみましょう。
解答例:
・定期的に話す場を持つ(朝礼/週報/メール)
・ストーリーで語る(数字だけでなく背景・想いも共有)
・ゴールだけでなく「なぜそれを目指すのか」を説明
・相手が果たす役割と意味を明確にする
・ポスター/スローガン化して“見える化”する
・進捗を見える形でフィードバックする
※フィードバックとは、「行動や成果に対して、気づきや改善のヒントを気づかせる対話」です。
相手を否定したり評価したりすることが目的ではなく、
「振り返り」と「前進」のきっかけをつくるためのコミュニケーションです。
■ 歴史が示した「ビジョンの伝え方」
~言葉が、世界を動かした瞬間~

I have a dream that my four children will one day live in a nation
where they will not be judged by the color of their skin
but by the content of their character.私には夢がある。私の4人の子供たちが、皮膚の色ではなく、人格で判断される国に住む日が来ることだ。
― マーチン・ルーサー・キング・ジュニア(1963年8月28日)
■ なぜ、この言葉は人の心を動かしたのか?
- 抽象的な理念を、「わが子」の姿に具体化した
- 一人称「I」を使い、個人の願いを社会のビジョンに昇華させた
- 感情を込め、繰り返し語りかける構成にした
■ ビジョンを共有するために必要なこと
ポイント | 解説 |
---|---|
✔ 相手の視点を意識する | 「なぜそれが必要か?」を相手が理解できるように語る |
✔ 言葉に熱と具体性を持たせる | 感情がこもっていると、人は引き込まれる |
✔ くり返し伝える場をつくる | 一度で伝わらなくても、何度でも語ることが大切 |
■ 一言まとめ
「目標を共有する」とは、あなたの夢を“みんなの夢”に変えることです。
■ ストーリーテリングとは?
ストーリーテリングとは、事実や意図を“物語のかたち”で伝えることで、相手の共感と理解を生み出す技法です。
数字や計画だけでは人は動きません。
「なぜ、それを目指すのか」を、心に届くかたちで伝える必要があります。
それがストーリーテリングの役割です。
■ なぜストーリーが人を動かすのか?
論理で伝える | 感情が動かない/覚えにくい |
---|---|
ストーリーで伝える | 共感が生まれる/記憶に残る/行動につながる |
脳は「物語」によって構造化された情報のほうを長く覚え、信頼しやすいといわれています。
■ ビジョンを語るとき、こんなふうに使われています:
- 過去 → 現在 → 未来 の流れで、実現したい姿を描く
- 自分自身の体験談を混ぜることで「リアルさ」が生まれる
- 仲間や第三者の変化の物語を通じて、目指す方向性を納得してもらう
■キング牧師のスピーチでは
“I have a dream” の繰り返しと、
自分の子どもたちの未来を語る物語が、全米の人々の心を動かしました。
ストーリーの力が、社会を変える力になることを示した代表例です。
■ 一言まとめ
「いい話」ではなく、「一緒に進みたくなる話」こそが、リーダーのストーリーです。
■「ストーリーテリングが、企画を動かすことがある。」
映画『E.T.』の誕生には、あるストーリーが関わっています。
監督スピルバーグが構想していた「少年と宇宙人の友情の物語」。
それを聞いた脚本家メリッサ・マシスンは、即座に「それってこんな話ね」と物語として語り返した。
スピルバーグはその語りに感動し、彼女に脚本を依頼。そこから映画が動き出しました。
■ストーリーテリングによる自己紹介
(チャレンジしよう!)
■情報の羅列型による自己紹介
私の名前は佐藤一郎です。
出身は神戸で、○○大学の3年生です。専攻は貿易論で、××ゼミに所属しています。
このゼミを選んだ理由は、将来、海外との取引にかかわる仕事をしたいと考えたからです。
大学では、テニス同好会とゼミの幹事長を務めています。
■ストーリーによる自己紹介
私の名前は佐藤一郎、○○大学の3年生です。
出身は神戸で、小さい頃から海を見ながら育ちました。
神戸には外国から大型客船がよく訪れ、船内の見学ができることがあります。
そのとき、片言の英語で海外の方々と話し、神戸の魅力を説明した経験がとても楽しく、印象に残っています。
その体験がきっかけで、いつか海外とかかわる仕事をしたいと考えるようになり、現在は貿易論のゼミで学んでいます。
ゼミでは積極的な姿勢を評価され、幹事長を務めています。
◆自己紹介を書いてみよう(ストーリー型構成)
私の名前は、( )です。
(企業・団体・大学/専門などがあれば簡単に)
(エピソードへの導入)
私は、(○○な場所/出来事/環境)で育ちました。
(そのとき感じたことや印象的だった出来事)があります。
(現在につながるエピソード)
その経験から、(○○に興味を持つようになった/△△を考えるようになった)
特に、(□□という経験)が、自分にとって大きなきっかけでした。
(エピソードから現在の自分へ)
このような経験を経て、今は(○○について学んでいる/□□の活動をしている)
将来は(△△なことをしてみたい)と考えています。
(現在の自分について)
現在は、(経験・体験・行動など)を通じて、(どんなことに取り組んでいるか)
これからも(大事にしていることや目指すこと)を忘れずに、成長していきたいと思っています。
◆チャレンジしてください!

■心の窓を開く6つの話法(小森康充先生より)

コミュニケーションの本質は、相手の“心の窓”を開くこと。
相手が心を開くことで、信頼が生まれ、言葉が届くようになります。
(1)誘導
(2)沈黙
(3)繰り返し
🔶「繰り返し」実践イメージ
◆姿勢反響
(4)心地よい質問
(5)立ち入った質問
■質問タイプの使い分け
①【オープンエンド・クエスチョン】
自由に語ってもらう質問。相手の考え・背景・感情を引き出す。
🔹 例:
- 「この件について、どう思いますか?」
- 「どんな状況でしたか?」
- 「そのときのことを説明していただけますか?」
▶ ねらい:対話の“入口”として有効。思考を深めるきっかけになる。
②【クローズド・エンド・クエスチョン】
「はい/いいえ」で答えられる質問。事実や確認に使う。
🔹 例:
- 「この方針で進めてよろしいですね?」
- 「~だと思うのですが、間違っていませんか?」
▶ ねらい:意思確認・合意形成に便利。長話を避けたい場面にも有効。
③【チョイス・クエスチョン】
選択肢を提示し、相手にどちらかを選ばせる質問。
🔹 例:
- 「これはAということですか?それともBですか?」
- 「Aならこうなり、Bならこうですが、どちらにされますか?」
▶ ねらい:選択肢を示すことで、考えや意志を引き出しやすくする。
④【ベネフィット・タグ・クエスチョン】
提案のメリットを伝えつつ、相手の感情に問いかける質問。
🔹 例:
- 「このエアコンは省エネで経費が安くあがりますよ。
その分、美味しい食事でもしたいと思いませんか?」
▶ ねらい:相手に“得する未来”をイメージさせ、共感と欲求を刺激する。
営業・提案場面で非常に効果的なテクニック。
■活用のポイントまとめ
質問タイプ | 効果的なシーン |
---|---|
オープン型 | 関係づくり、自由な発言を促す |
クローズ型 | 確認・合意・要点の整理 |
チョイス型 | 判断に迷っている相手に道筋を与える |
ベネフィット型 | 提案・動機づけ・未来の共有 |
(6)解釈
🔶是非、練習を繰り返し、自然な空気で実践できるまで訓練してください。
🔶目標を共有する(O:ObjectiveSharing)
根本は、信頼関係を構築するコミュニケーションです。 先ず、この6つのコミュニケーションを駆使し、相手の本音を引き出しましょう!

以上
※提出課題は、個別クラスの指示に従ってください。

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